とまま工房のこと


アクセスありがとうございます。よく「とまま」の意味を尋ねられるので、まずは簡単に自己紹介。

「とまま」は、『to mama』です。大まかに言って男性はムクの家具に対して「ステイタス」を求める傾向がありますが、 女性はとても実用的です(笑)美しさと共に、生活に寄り添う、親しみやすいものを作っていこうと思って付けた名前です。 初めて人のために作った木工品が、母親の不便をなくすためのひきだしだったことから思いついたものでもあります。

現代は、暮らしから木のものがずいぶん減り、長い時間をかけて受け継がれてきた木についての 知恵や技術も失われてしまうような気がして、便利さの反面寂しい思いもします。 もっと身近で木に触れたいという欲求でこの仕事を始めたのでしょう。 木のものは古くから生活の道具として欠かせないものでした。ステイタスとしての役割は木そのものが果たしてくれますから、 私は木に人間の目的を加えて、長く使ってもらえるモノを作りたいと思っています。

そんなわけで、1988年八ヶ岳、甲斐駒ヶ嶽などの名峰に囲まれた山梨県の西端、白州町に移り住んで工房をはじめました。 生国は福島県の会津地方です。雪深い「秘境」なので「近代化」というのも遅く、 私が生まれた1960年頃でも、かなり自給自足の生活様式が残っていたと思います。 生活に関わる道具の多くに、使い手が工夫を重ねて作った木のものがあり、 使い込まれたそれらの道具には、そういうものにしかない微妙な感触と、鈍い光沢があって好きでした。 子供心にも使い手の愛着を感じさせるものでした。 毎日の食卓の拭き込まれた縁の摩耗や、小刀で仕上げた鉈の柄のわずかな起伏や手で撫でられた鉄瓶のツルの艶なんて、 もうなかなか見られません。 いまでも古い道具は(用途不明でも)なんだか好きで、がらくたを拾ってきたり、もらったりして喜んでいます。 そんなモノのことなど思いながら、木の仕事をしています。